前回の記事で
「右5分ー左5分のような、時間を決めた授乳は色んなトラブルの原因になることがありますよ」
というお話をしました。
じゃあ、どうやって左右の授乳時間を決めたらいいの?というのが今回のテーマです。
授乳時間、長いも短いも赤ちゃん次第
答えはタイトル通り、「授乳時間は赤ちゃんが決める」が原則です。
「産まれたばっかりの赤ちゃんに、自分で授乳時間を決めることなんてできるの?」
と思う人もいますよね。
月満ちて・健康に生まれた赤ちゃんには、これができるんです。
「赤ちゃんが決める」と言われてもイメージしにくいと思いますので、もう少し具体的にお話ししていきます。
母乳の出方は、1回の授乳の中で変化している
哺乳瓶の場合は、傾けたらor赤ちゃんが乳首をくわえたら中身が出てきますが、母乳が出る仕組みは哺乳瓶とはずいぶん違います。
母乳はこんな感じで、分泌のパターンが変化するんです。
- 吸い始めの頃:
ジワジワ~ポタポタ~タラタラと分泌する。
赤ちゃんの口の動きは、リズミカルで早い(呼び出し吸てつ)。 - 赤ちゃんが吸ってしばらくすると:
シャーシャーと勢いよく分泌する(射乳反射が起こる)。
赤ちゃんの口の動いは、「ゴックンゴックン」とゆっくりに変わる。 - 射乳反射が起こってしばらくすると:
またジワジワ~ポタポタ~タラタラの分泌に戻って「呼び出し吸てつ」が起こり、しばらくすると射乳反射が起こって「ゴックンゴックン」になる…の繰り返し
というように、少しの分泌と、射乳反射が交互にくるようになっています。
赤ちゃんの口の動きや、飲み込む様子に着目して、授乳時間を決める
このように母乳分泌パターンが変化するので、赤ちゃんの口の動きや飲み込む様子を注意深く見ていると、「あ、そろそろ射乳反射が始まったんだな」とか「射乳反射がおさまって、今はあんまり出てないんだな」とかが分かります。
つまり、
- 赤ちゃんが「チュクチュク」と細かく&早い口の動きをする時:呼び出し吸てつ
- 赤ちゃんが「ゴックンゴックン」とゆっくりな口の動きになる:射乳反射が起こっている
と判断しますので、授乳を終わりにするor左右交代するタイミングは以下のようなものになります。
- 「ゴックンゴックン」が終わって 、赤ちゃんが自分から乳頭を外した時
- 「ゴックンゴックン」が終わって 、 まだ乳頭をくわえてはいるけど、飲む気がなさそうに「チュクチュク」とか「ハムハム」しているだけの時間が長くなった時
このように、赤ちゃんの様子をつぶさに見ていると、おのずと授乳時間を終わりにするタイミング・左右スイッチするタイミングが分かる、というわけなんですね。
赤ちゃんはこうやって静かに・でもちゃんと意思表示していますので、それを汲み取って授乳時間を決めると、前回お話ししたようなトラブルが起こりにくくなります。
でも、そうしたら片方からしか授乳してくれないよ?
ここまでお話ししたようなやり方で授乳時間を決めていると、
「赤ちゃんが片乳しか飲んでくれないまま寝ちゃった!」
ということがザラに起こります。
生まれたばかりの赤ちゃんの胃はとても小さいので、片乳からの授乳だけで満腹になるのは珍しくないことです。
片乳だけで授乳が終わってしまっても、そんなに焦らなくて大丈夫。
片乳授乳になってしまった時には、おそらく赤ちゃんはあまり時間を空けずに次の授乳をしたがると思いますので、次の授乳のタイミングで今回飲めなかった側の乳房から授乳します。
もし、次の授乳まで待てないくらい乳房が強く張り過ぎてしまった場合には、軽く搾乳してもいいですね。
母乳分泌を積極的に増やしたい人以外は、できるだけ少ない量に留めた方が、母乳過多になるリスクが減るのでベターです。
反対に「母乳分泌を増やしたい!」という場合には、絞れるだけ搾乳した方が、よりスムーズに母乳分泌を増やすことができます。
つまり、搾乳するか/しないか、どれくらい搾乳するかは、ケースバイケースということです。
まとめ
出産直後から「右5分-左5分」のような時間を決めた授乳を続けた結果として、母乳過多になって苦しい思いをされている方に時々お会いします。
「母乳が出過ぎて困る」というのは、「母乳が出ないよりいいじゃない」「ぜいたくな悩みね」とか言われて人になかなか理解してもらえないので、心もとても疲れる方が多いです。
ご相談の比率としては「母乳が足りなくて困る」が多いのは確かですが、「母乳が出過ぎて困る」も想像以上に深刻なお困りごとになることがありますので、「授乳時間は赤ちゃんが決める」という原則を頭の片隅に置いておいていただければと思います。
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