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【離乳食の始め方】1日目は何を食べる?|市川市・船橋市の母乳外来

補完食・離乳食

「離乳食を始めよう!」
と思った時に、「1日目には10倍粥を小さじ1杯」食べさせようとトライする方が多いと思います。

「10倍粥・小さじ1杯からスタート」は当たり前のように語られますし、雑誌記事・ネット記事でもそのように書いてあることがあります。

でも実は…

「10倍粥からスタート」実はガイドには書いてありません

赤ちゃんの栄養となる授乳・離乳食については、厚生労働省が「授乳・離乳の支援ガイド」というものを出していて、直近では2019年に改訂されました。

このガイドの中には「最初は10倍粥からスタートしましょうね」ということは実は書かれていないんですね。

もっと昔まで遡ると、 10倍粥・7倍粥と言われ始めたのは昭和38年(1958年)の「離乳基本案」からで、 昭和55年(1980年)の「離乳の基本」以降は「つぶしがゆ」 という表現に変わっています。

「最初は10倍粥から」はもう30年以上も前の情報なんですね。

「補完食」という考え方

「補完食」より引用・改編

つまり、「赤ちゃんが受け入れやすい柔らかさのつぶしがゆから始めればいいよね」というのが、授乳・離乳の支援ガイドの基本スタンスなのだと私は理解しています。

もしかしたら、それは5倍粥かもしれないし、10倍粥かもしれないし、7倍粥くらいの柔らかさかもしれませんが、どれが適切な「1日目の離乳食」なのかはお子さんごとに異なるのだと思います。

「赤ちゃんがびっくりしないように、母乳・ミルクの感触になるべく近い10倍粥で…」と考えるのは当たり前の親心だと思いますし、一番最初は10倍粥から始めてもいいと個人的には考えています。

ただ、離乳食1日目の離乳食が「10倍粥を小さじ1杯」だったとしても、赤ちゃんの様子を見ながら無理のない範囲の、できるだけ早いタイミングで、もう少し濃い(水分量が少ない)お食事にしていった方がベターだとは思います。

具体的には、母乳やミルクと同じくらいのエネルギー密度の「5倍粥」くらいの水分量のお食事が、なるべく早いタイミングで食べられるようにできるといいと思います。

なぜそのような考え方になるかというと、そもそも離乳食は、生後6ヵ月ころから母乳やミルクからだけでは足りなくなる栄養を補うために始めるからです。
(自分で栄養を摂れるように自立するため、噛んだり飲み込んだりする口腔・嚥下機能の発達を助けるため、という理由もあります)

ということは、赤ちゃんに食べてもらうお食事は、母乳・ミルクを飲むのと同等か、それ以上のエネルギーにした方がいい、ということになります。

例えば、母乳やミルクを100ml飲むと赤ちゃんは70kcal弱のエネルギーを摂取できますが、10倍粥を100g食べても(実際には100gも食べるのは難しいと思いますが)36kcalしか摂取できません。

これだと、離乳食を食べさせる「栄養的な」意味合いは薄くなってしまいますよね。

補足
  • 母乳:約69kcal/100ml
  • 人工乳:約66~67kcal/100g
  • 10倍粥:36kcal/100g
  • 5倍粥:71kcal/100g

これ↑を見ると、5倍粥であれば、母乳・ミルクのエネルギー密度と同じくらいになりますね。

だから、「赤ちゃんの様子をみながら、できるだけ早いタイミングで母乳・ミルクと同等かそれ以上のエネルギー密度のお食事(お粥なら5倍粥以上)を食べれるように」というのがベター、というわけなんです。

このように、母乳やミルクをやめてお食事だけから栄養が摂れるようにするのが目的なのではなく、授乳も続けながら乳汁だけでは足りなくなる栄養を補うという考え方から、最近は日本でも、WHO(世界保健機関)が提唱している「補完食」という呼び方・考え方をするようになってきました。

「補完食」より引用・改編

【離乳食の始め方】1日目は何を食べる?

ですから、タイトルの答えはあってないようなもので、ご家庭毎に
「最初は一応10倍粥から様子をみて…」でも、
「最初から5倍粥を用意してみよう」でも、
どちらでもいいのだと私は思います。

ただ、10倍粥・7倍粥のような水分量の多いお食事を、もし全然食べてくれなかったとしても、
「10倍粥(や7倍粥)が食べられるようにならなければ次のステップに進めない」
のではなく、食材や、柔らかさ・硬さを変えたりしながら、できるだけ早いタイミングで水分量の少ない
濃いお食事へのシフトにトライ
していきます。

つまり言い換えると、よく特集記事にされているような、
「10倍粥を小さじ1杯から始めて、次は小さじ2杯・3杯と増やして、しばらくしたら7倍粥にして…」
と、細かいステップを踏まなくていいんですね。

赤ちゃんの様子を見ながら…ではありますが、できるだけ初期のころからもっと濃い(水分量の少ない)お食事を与えてあげた方が理にかなっています。

「濃いお食事」とは、もう少し具体的に分かりやすく表現すると
「スプーンを傾けた時にこぼれないくらいの柔らかさ」
とされています。

ヨーグルトくらいの柔らかさがこれに該当すると思いますので、目安にしてくださいね。

WHOが発行している補完食についてまとめられたパンフレットの日本語訳は無料でみることができますので、こちらからダウンロードしてご覧ください。

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