新型コロナワクチンの接種率が少しずつ上昇するのに伴って、
「授乳中もワクチン打ってほんとに大丈夫ですか?」
と質問される方が増えました。
「母乳中にワクチンの成分が出てくるんじゃないの?」
「ワクチン接種後の母乳を飲んだ赤ちゃんに、何か問題は起こらないの?」
などなど、ご心配が尽きない方も多いようです。
大事に産み・育ててきたお子さんですから、新しいワクチンを接種することに慎重になるのは、親心としては自然のことだと思います。
「色んな情報があって、どれを信じれば…」
という方は、検索エンジンで出てきたネット情報ではなく、後述する公的機関や学会の出している情報に目を向けてみましょう。
【新型コロナワクチン】モデルナでもファイザーでも、授乳中も接種できます
まず結論ですが、授乳中でも新型コロナワクチンを接種することに問題はないことが分かっています。
これは、モデルナのワクチンでもファイザーのワクチンでも同様です。
新型コロナワクチン接種が問題ないばかりでなく、「ワクチン接種することによって赤ちゃんを新型コロナウイルスから守る可能性」も示唆されています。
厚生労働省からの情報
厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&A」のページにはこのように記載されています。
米国CDCは、授乳中の方にも、新型コロナワクチンの接種を推奨しています(※3)。mRNAワクチンの成分そのものは乳腺の組織や母乳に出てこないと考えられています(※6)。
授乳中にmRNAワクチンを受けた方の母乳中に新型コロナウイルスに対する抗体が確認されています。こうした抗体が、授乳中の子供を感染から守る効果があることが期待されています(※5、※7)。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html
国立成育医療研究センターからの情報
厚生労働省所管の国立研究開発法人で、国立高度専門医療研究センターである「国立成育医療研究センター」の「妊娠・授乳中の新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種について」のページにも、同様のことが書かれています。
コミナティ筋注、COVID-19ワクチンモデルナ筋注の添付文書*では、予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討することと記載されています。
このワクチンの性質からは、母乳移行量は非常に少なくなると考えられています。さらに多少のワクチン成分を含んだ母乳を赤ちゃんが飲んだとしても、赤ちゃんに悪影響が及ぶとは考えられません。
実際にワクチン接種後の母乳移行について調べた研究では、母乳中にmRNAは検出されなかったと報告されています。また、授乳中の多くの赤ちゃんに問題はみられなかったとの報告もあります。
これらのことから、授乳中のワクチン接種は問題ないと考えられます。
*薬機法にもとづく公的文書で、薬などに添付され、用量・用法・使用上の注意、副作用などが記載されている説明書です。
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/covid19_vaccine.html
上記の情報をまとめると…
- ワクチンの成分そのものは、母乳中には出てこないと考えられている。
- もし、多少のワクチン成分を赤ちゃんが摂取してしまったとしても悪影響が出るとは考えにくいし、実際に「授乳中の多くの赤ちゃんに問題はみられなかった」という報告がある。
- よって、授乳中の新型コロナワクチン接種は問題なく行える。
- 授乳中に新型コロナワクチンを接種すると、母乳中に新型コロナウイルスに対する抗体が分泌され、この抗体が母乳を飲むお子さんを感染から守ってくれる可能性がある。
4つ目の「母乳中に抗体が…」という部分を伝聞して
「母乳中にワクチンの成分が!!」
と思う方もいらっしゃるようですが、母乳中に確認されているのは、あくまでも「抗体(感染しないためのバリア)」であって、ワクチン成分そのものではありません。
厚生労働省のQ&Aでは、母乳中の抗体についてサラリと記載されていますけど、
「母乳を飲んだ赤ちゃんが、新型コロナウイルスの抗体を享受できて、感染防御できるかもしれない」
ってすごいことです。
つまり、お母さんの新型コロナワクチン接種後、授乳を継続した方が、赤ちゃんにとってメリットが大きい可能性があるということです。
2回のワクチン接種で、お母さんと赤ちゃんと、2人の人間を守ることに繋がるかもしれないんですね。
現状では、ワクチン接種のリスクよりベネフィット(恩恵)の方が大きい
公的機関がこのように発信していても、
「新しく開発されたワクチンだし、長期的なデメリットが分からないから不安…」
という方もいらっしゃいます。
しかしながら、
- 若くても、基礎疾患がなくても、ワクチン接種していない大人が新型コロナウイルスに感染すると、重症化したり亡くなったりすることも珍しくはない
- お子さんを残して亡くなってしまうお母さん・お父さんもいる
というのは、みなさんがご存じの通りです。
ワクチン接種しない選択をして、仮に将来ワクチンによる悪影響からお子さんを守れたとしても、「今現在」お母さんやお父さんが亡くなってしまったり、健康を害してしまったりしたら、それは赤ちゃんにとって幸福なこととは言えないですよね。
感染した大人からお子さんにも感染してしまう可能性も十分考えられます。
医学的な事情があってワクチン接種できない方もいらっしゃいますが、
- ワクチン接種を躊躇している間に感染して重大な事態に陥ってしまうかもしれないリスク
- ワクチン接種そのもののリスク
を天秤にかければ、ワクチン接種そのもののリスクの方が低いのではないでしょうか。
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