前回のお話の続きです。
母乳では不足する栄養素って?
「赤ちゃんを母乳だけで育てていると不足する可能性のある栄養素として、以下の3つがあります。」
- ビタミンD
- ビタミンK
- 鉄分
実はビタミンKに関しては、「母乳育ちだから」不足するわけではなくて、「新生児だから」不足します。
ビタミンKは胎盤をほとんど通過できないために、新生児はビタミンKの蓄積が少ない状態で生まれてくるためです。
ただ、人工乳(ミルク)にはビタミンKが添加されているので、「母乳だけ(いわゆる完母)」で育つ赤ちゃんの場合は特に注意が必要、というわけなんですね。
ビタミンKが不足すると何が心配?
ビタミンKは、凝固因子(出血を止める働きをするもの)の産生に関与する栄養素です。
ですから、ビタミンK欠乏症が起こると、頭蓋内出血などの出血性疾患が起こるリスクが高くなります。
赤ちゃんが合併症をもっている場合、母子がビタミンK吸収障害である場合、お母さんがワルファリンや抗てんかん薬などを妊娠中に内服していた場合等は、特に注意が必要とされています。
ビタミンK不足をどう補う?
先述したように、新生児はビタミンKの蓄積が少ない状態で生まれてきます。
また、赤ちゃん毎に哺乳量にも個人差があります。
➀ビタミンK2シロップを確実に飲ませてあげる
だから栄養法にかかわらず、生後間もなくから赤ちゃんに 「ビタミンK2シロップ」というお薬を投与することで、ビタミンK不足を補います。
健康に生まれてきた赤ちゃんの場合、ビタミンK2シロップを3回投与する産院と、13回投与する産院とがあります。
- 3回投与の場合のタイミング
➀生後1日目頃、②退院時頃、③1ヶ月健診 - 13回投与の場合のタイミング
出生時+生後 3 ヶ月(12 週)まで毎週 1 回(合計 13 回)
お母さんがビタミンKを豊富に含む食材を摂る
➀のビタミンK2シロップの投与と併せて、母乳中のビタミンKを増やすための工夫として、お母さん自身がビタミンKを豊富に含む食材を食べるようにするのもいいですね。
- 納豆
- 緑黄色野菜(ブロッコリー、モロヘイヤ、小松菜、ホウレンソウなど)
- 海藻類(ワカメ、海苔など) …等々
次回に続きます
母乳だけでは不足することのある栄養素、ビタミンKについてお話ししてきました。
次回は、鉄分について解説します。
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