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母乳で不足する栄養素は?どう補う?➀|市川市・船橋市の母乳外来

母乳育児

多くの方がご存じのように、母乳には栄養(糖質・タンパク質・脂質・各種ビタミン・各種ミネラルなど)だけではなく、赤ちゃんを様々な病原体から守る「免疫強化物質(抗体・白血球・酵素・免疫因子など)」が豊富に含まれています。

世界的に母乳育児が推進される大きな理由の1つが、「免疫強化物質」は人工乳(ミルク)に添加することができないから、という理由なのですね。

母乳では不足する栄養素って?

赤ちゃんを母乳だけで育てていると不足する可能性のある栄養素として、以下の3つがあります。

不足することがある栄養素
  1. ビタミンD
  2. ビタミンK
  3. 鉄分

今回は➀のビタミンDについて解説しますね。

母乳中のビタミンDが不足すると何が心配?

ビタミンD摂取不足によって、赤ちゃんが「くる病」という病気にかかるリスクがあることが知られています。

「くる病」という病気を初めて聞く人も多いかもしれませんが、日本内分泌学会のホームページには以下のように記されています。

子どものときにカルシウム・リンが骨基質に十分に沈着せず、骨塩(セメント部分)が不十分な弱い骨ができてしまう状態です。尚、身長の伸びが止まった大人では同じ病気を骨軟化症と呼びます。

お子さんの骨が変形したり、歩行に影響を来したりすることがある病気なので、知っておきたい大事な情報です。

ビタミンD不足をどう補う?

お母さんのビタミンD摂取量が、母乳中のビタミンD濃度に関係しますので、お母さんがビタミンDを豊富に含む食品を摂取できていなかったり、日光に当たらない生活をしていると、さらにリスクが高まります。

母乳育ちの赤ちゃんのビタミンD不足を補うための選択肢は4つあります。

➀お母さんがビタミンDを豊富に含む食品を意識的に摂る

先述したように、 お母さんのビタミンD摂取量が、母乳中のビタミンD濃度に関係します

つまり、お母さんがビタミンDを豊富に含む食品を積極的に食べていると、母乳中のビタミンDも増加することが期待できます。

ビタミンDを豊富に含む代表的な食材には以下のようなものがあります。

ビタミンDを豊富に含む食材
  • イワシ
  • ベニザケ
  • ウナギ
  • しらす干し
  • 干しシイタケ
  • 干しキクラゲ
  • 卵黄  等々…

魚介類や、干したキノコ類に豊富に含まれることが多いのが特徴ですね。

過剰摂取にもリスクがあり、厚生労働省発行の日本人の食事摂取基準には「100㎍/日が上限」と記載されています。

②親子で日光浴をする

ビタミンDの摂取方法は「食べる」ことだけではありません。

皮膚が直射日光に当たると、体内にビタミンDが生成されます。

どれくらいの時間の日光浴が適切かは、

  • お住いの地域
  • その日の天候
  • 露出している肌の面積
  • 日焼け止め使用の有無

などによって大きく異なります。

大人の両手の甲と顔を露出した状態で(日焼け止めなし)5.5㎍のビタミンDを生成するのに必要な時間はこのように示されていますので、1つの参考になりますね。

大人の両手の甲+顔を露出した状態で

今日の天気だとどれくらいの日光浴が必要?」という時には、こちらのページが役立ちます。

③赤ちゃんにビタミンDサプリメントを与える

「そうは言っても、皮膚が日焼けしちゃうじゃん…」
「毎日日光浴のための時間を作るのが大変…」
「赤ちゃんを日光浴って、将来の皮膚がんの心配はしなくていいの?」

と思って、日光浴が現実的にできそうにない…という人もいらっしゃると思いますので、「赤ちゃんにビタミンDサプリメントを与える」というのも1つの選択肢になるかもしれませんね。

日本国内で入手できるものだと、例えばこんな商品が販売されていて、4㎍/日のビタミンDが補足できます。

④補完食/離乳食スタート後は、赤ちゃんにもビタミンDを豊富に含む食材を与える

赤ちゃん自信もお食事を食べられるようになったら、先述したような「ビタミンDを豊富に含む食材」を積極的に取り入れることができたらいいですね。

離乳食指導でよく言われる「タンパク質は白身魚から…」には特に科学的根拠はありませんから、お子さんの様子を見て、食べれるのであれば初期から食べさせてあげて構わないです。

次回に続きます

母乳だけでは不足することのある栄養素、ビタミンDについてお話ししてきました。

次回以降は、残ったビタミンK、鉄分について解説します。

個別相談をお受けします

こうして記事にできるのは、あくまで一般論なので、「我が家の場合はどうしたらいいの?」という時はご相談くださいね。

個別相談には、➀訪問相談(地域は限る)、②ビデオ通話/音声通話相談、③LINEチャット相談があります。

赤ちゃんの「飲む」「食べる」を中心に、妊娠期~産後まで幅広くご相談をお受けしています。

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