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「脂っこい食べ物で乳腺炎になる」はデマです|市川市・船橋市の母乳外来

妊娠期のトラブル対策
  • 授乳中は脂っこいものは避けて粗食で!
  • ケーキや焼き肉やピザはダメ!

…なんて思っている人、誰かに言われたことがある人は、かなり多いと思います。

でも実は、「脂質が原因で乳腺炎になる」は、理屈の説明ができないし、科学的根拠もないんですよ。

「脂っこい食べ物で乳腺炎になる」はデマです

「脂っこい食べ物が乳腺炎の原因になる」というのは、かなり以前から言い伝えられてきたことなので、

「だって!病院/助産院の助産師に言われたけど!」

とビックリしたり、憤りを感じる方もいらっしゃるかと思います。

どういう理由で「脂っこい食べ物→乳腺炎『ではない』」と言えるのか?、タピオカドリンクに例えるとわかりやすいです(*^-^*)

4つの視点で解説しますね。

➀母乳中の脂肪は「脂肪球」という、小さいボール状で存在する

母乳中にある脂肪は「脂肪球」といって、小さいボール状の形をしています。

粘土のようにドロドロしているイメージをお持ちの方が多いのですが、タピオカのように液体の中でコロコロした形状を保っているんですよ!

②脂肪球は硬い殻に覆われているので、くっつき合って大きくなれない

しかも、脂肪球は硬い殻に覆われているので、乳管の中でボール同士がくっ付いて、大きなになることはありません。

タピオカドリンクの中でも、タピオカ同士が結合して、1つの大きな塊になることはありませんよね?

「母乳中の脂肪球=タピオカ1つ1つ」とイメージしていただくと、分かりやすいと思います。

脂肪球同士が結合する場合

例外として、脂肪球の殻に傷がつくと、傷口同士がくっつき合って、大きな塊になってしまいます。

例えば、

  • 生クリームを泡立てると、液状→ホイップ状に
  • 生クリームを勢いよく振ると、液状→固形に(バターに)

なりますよね?

母乳でも同じようなことが起こりえるので、搾乳した母乳を勢いよく振るのは避けた方がいいです(そんなことしないかもしれないけど)。

でも、やったことのある方ならご存じの通り、
生クリームをホイップしたり
生クリームからバター作りをしたり
は、かなり激しく攪拌したり振ったりしないと、液状→固形にはならないですよね。

ヒトはそこまで激しくは動けないので、乳房(乳管)の中でこれが再現されて、脂肪球同士がくっ付いて、大きな塊になったりはしないのです。

③脂肪球に比べると、乳管の方がはるかに太い!

もう1つ大事なことは、1つ1つの脂肪球は、乳管の太さに比べてかなり!相当に!小さいということ。

タピオカドリンクに例えると、乳管の部分はストローに相当しますが、タピオカドリンクを飲むときのストローは太いから、ストローの中でタピオカが詰まってしまう…ということは、原則的には起こりませんよね?

実際の比率では、母乳中の脂肪球はもっともっと小さくて、

  • 脂肪球=タピオカ1粒1粒
  • 乳管=コップより太い

これくらいの差があります!

ほかの例えをすると?

「母乳中の脂肪球:乳管」の比率は、他にも色んなモノに例えられます。

一例をご紹介しておきますね。

  1. 直径1㎝のスーパーボール :幅10mの川
  2. 小さな小石:トンネル

タピオカにせよ、スーパーボールにせよ、小石にせよ、いずれにしても「雲泥の差」ということがお分かりいただけると思います。

④そもそも、食事中の脂質量は、母乳中の脂質量に影響しない

ここまで解説した➀~③を聞いても、
「でも、めちゃくちゃ大量にケーキ食べたりしたら、さすがに母乳中の脂肪が増えて詰まるんじゃないの?」
と心配される方もいると思います。

「めちゃくちゃ大量のケーキ」が健康そのものに与える影響は置いておくとして、母乳に与える影響だけにフォーカスしてお話しすると…

研究によって
「母親の食事は、母乳中の脂肪の量には影響しませんが、脂肪の構成成分に影響を与えます」
と報告されています。

つまり、たくさんのケーキを食べても、母乳中の脂肪は一定のままということなんですね。

ただし、「脂肪の種類」については食べ物の影響を受けることが分かっています。

魚類に含まれる脂質と、お菓子に含まれる脂質とでは脂質の種類が違うのですが、こういった「脂質の種類/質」については、母乳中の脂肪に影響を与えることが分かっています。

日本助産師会出版のガイドラインでも明記されてます

「食べ物と乳腺炎は関係ないですよ!」というお話をすると、私個人の独自の考え・経験則と感じる方もいらっしゃいます。

でも「特定の食べ物が乳腺炎などのトラブルの原因にはならない」ということについては、日本助産師会という職能団体が出版する「乳腺炎ケアガイドライン2020」にも明記されている情報なんですよ。

授乳中も、ケーキや焼き肉、なんでも食べて大丈夫ですよ!

「食事中の脂質が原因で乳管が詰まる→乳腺炎になる」は説明ができないことですよ、ということについて4つの視点でまとめました。

脂質たっぷりの食事を継続すれば、当然のことながら健康を害するリスクがあるので、よく言われる「バランスの取れたお食事」はとても大事です。

スイーツをお食事に置き換える…とかは、もちろんオススメできることではありません。

でも、授乳中だからといって「ケーキなどの脂っこい食べ物を一切食べちゃダメ!」ということでは全然!ないのです。

赤ちゃんのお世話をしながらの生活は、疲れもストレスも溜まるのが普通のことですから、せめて食べ物は「呪い」に縛られず、安心して好きなものを食べてくださいね。

じゃあ、乳腺炎のホントの原因はなに?

食べ物が乳腺炎の原因じゃないとすると、一体なにが本当の原因なの?
というお話は、次回の記事にまとめます。

乳腺炎の本当の原因はこれ!|市川市・船橋市の母乳外来
乳腺炎の原因は食べ物ではありません。 科学的に説明ができる、乳腺炎の本当の原因について解説します。

個別相談をお受けします

授乳のお困りごと、ご心配、トラブルについての個別相談を承っています。

特に乳腺炎については、大きなトラブルに発展する前に「早めの対処」「早めの受診」が必要ですので、お困りの方は早いタイミングでご連絡いただくことをおすすめしています。

個別相談には、➀訪問相談(地域は限る)、②Zoom相談、③LINEチャット相談があります。

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